2014年6月20日金曜日

第3章 NPO所属時代 2007年

片山さんからは、いろんなことを教わった。
産直運動の話や、
「農家の目線になれ。」
「交渉力が大切だ。」
「消費者と生産者との交流から安心は醸成される。」
「正義を貫こうと思えば、したたかにならんとイカン!」
「正しいことを言うことが正しいとは限らない。」
など。

生協の人達との会議で、
「国産、国産と言うけれど、中国やフィリピン、ベトナムの研修生が労働の担い手になっちょるやないか。これで、国産と胸を張って言えるか。ワシらがベトナムでちゃんとしたものをつくるから、買ってくれ!」と説得したという話。
「ワシらは、安い中国の農産物に苦しめられ、中国の農家を敵のように思っているけれど、農家は、どこの国に行っても貧しい。真ん中で搾取している人間がおって、こいつらが悪い。」
「国家を超えて、農家が連帯する時代だ!」
そういう話を聞くと胸が躍る想いになる。

ある時、確か酒も入っていたと思うけれど、片山さんが、
「塩川。社長の仕事は何かわかるか?」
「え、・・・経営することですか。・・・」とおそるおそるこたえると、

「夢を語ることじゃ!」と目をキラキラさせながら言う。
もう60を越えた人間が、20代の若造に、
「夢を語ることじゃ!」と言う。
自分の方が恥ずかしくなってしまった。

最初の頃は、バンメトート市には、自分1人しか責任者がいなかった。
片山さんが、2,3ヶ月に一度や、半月に1度、必要に応じて、ベトナムにやってくる。
親分である片山さんが来るとやっぱり自分も嬉しくなる。

片山さんを空港まで迎えに行ったとき。
愛媛県の片山さんの農場で、NPO法人ニュースタートと協力して、ひきこもりの子を引き受けたとのこと。
「今、そいつらと共同生活しよるんじゃ。1人窃盗癖のあるやつがおって、1人タバコを辞めれないやつがおって、あるとき窃盗癖のあるやつが、タバコを盗んだんじゃ。そしたら、タバコがないタバコがないっておろおろし出してな。」
「今度、そいつらも、ベトナム連れてくるから、塩川頼むぞ。」
(・・・勘弁してくれ。1人でも大変やのに、そんな人連れてこられたら俺死んでしまう。)
普段、タバコなんか吸わないのに、そのときばかりは、タバコに火をつけて、やさぐれた。

つづく。

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