2014年6月20日金曜日

2章 バックパッカー 2004年8月 

ホテルでの労働は楽しかった。ベトナム人の従業員の子達と仲良くなった。
屋上には、洗濯干し場と筋トレマシーンがあって、そこで、仕事の合間に話していた。

ある日、夜に20を少し越えたくらいのホテルで働く青年が、
「10ドルくれ。」と言う。
「なんで?」
「私は、お金がないので、服も変えないし、バイクも買えないし、結婚もできない。だから、10ドルくれ」と言うのである。
それを、聞いてものすごく悲しくなって来て、泣けてきた。
「泣かないでくれ。」と言って、青年は立ち去った。

ダナンに向かう当日、ホテルのおっちゃんが駅まで送ってくれるというので、待っていた。
しかし、おっちゃんは、時間がぎりぎりになっても、まだ、友人と酒を呑んでいる。
もし、これに乗り遅れたら、今度こそ、日本に帰れない。必死の想いで、おっちゃんに訴えかけ、
なんとか、バイクに2人乗りして、駅まで送ってもらった。
本当に、この場所でいいのか、もし間違ってたらと不安になりながら、汽車に乗り込んだ。
さよなら、ハノイ。

つづく。



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